動物がかかる主な病気

猫の問題行動 :過剰グルーミング

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グルーミングを”する”、”される”。

これは、猫同士のスキンシップの表現方法であり、自己ヒーリングの一手段でもあります。

猫を飼われている方はご経験があるかと思いますが、すり寄ってくる猫の頭や身体をほんの少し力を加えて撫でることで、猫との親密さが増します。

そのまま続けていると猫自身もこちらをグルーミングしてくれるようになったりします。これは、まさに猫がスキンシップの相手として飼い主を選んでいることの証です。

ここまでであれば、私自身を含めて、猫の飼い主としては申し分のない状況といえるのではないかと思います。

しかし、グルーミングを自己ヒーリングの手段とした際、猫の感じているストレスが、自己グルーミングによって緩和されない場合、ひたすらにグルーミングを行うことになります。

そうすると、やがて、被毛が切れ、薄毛となり、最後には脱毛し、毛の無い状態となってしまいます。このような時に飼い主の方が、皮膚病と思われ受診されても、結果的に何も判明しないことがあります。ある意味、獣医師泣かせの問題行動でもあります。

逆に考えてみれば、皮膚病変が確認できないことは過剰グルーミングの可能性を示唆していることとなります。

但し、無毛になった皮膚をグルーミングし続けると、やがて皮膚が傷ついて口腔内の細菌が感染し、皮膚病となることがあります。

しかし、皮膚病を治療したとしてもそのストレスを見つけて取り除いてあげないと、再発を繰り返すことになります。

根本治療は明確で、原因となっているストレスの除去にありますが、そのストレスを見つけだすことが困難な場合改善できません。

一般的に人間で起こる心因性の円形脱毛症に相当する皮膚病は、動物には無いと言われてきましたが、猫の過剰グルーミングによる脱毛は、心因性という点では、似ていると言えるかもしれません。

猫の問題行動の治療は犬と違い明確な治療と呼べるものが無く、むしろ、原因となる事や物を事前に排除したり、猫の特異な生活様式に基づく行動には、代替を与えることで解決する事が、多かったりするといった点から考えると、治療と言うよりも予防行為と位置づける方が、正しいのかもしれません。

猫の問題行動を回避する為には、私を含め、猫の飼い主であるみなさんが、より猫の行動特性を理解し、常に猫の行動について先回りして、考える癖をつけるように心がける必要があるかもしれません。

ですが、個人的には、猫の後を追い回して、世話をしている方が、猫の飼い主らしいなぁと自分では、思っています。