犬のブログ

犬の嗅覚

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古くから知られていて、誰もが最初に思い浮かぶ犬の優れた能力のひとつといえば、臭いを嗅ぐ力、すなわち嗅覚(きゅうかく)でしょうか。

実は、犬の臭いの感じ方は、人間とは少し異なります。

人間は、臭いだけでも臭いを感じ、また、味と臭いの組み合わせでも臭いを感じることができます。しかし、犬の場合は、臭いを単独で感じる事の割合が多いようです。






嗅覚の優劣は、鼻の穴(鼻腔)の構造に左右されます。
鼻腔の表面(嗅上皮)内には、臭いを感知するセンサーが(嗅細胞)があり、嗅上皮の表面積は、人では3~4平方cmで、犬は18~150平方cmと言われています。
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参考:http://www.koinuno-heya.com/zukan/smell.html#one

表面積が大きいということは、それだけ多くの嗅細胞が存在することであり、すなわち嗅覚が人に比べ優れている根拠と言えるでしょう。

嗅上皮細胞膜は、ボーマン腺と呼ばれる腺構造より分泌される粘液によって覆われ、臭いはこの粘液内に溶け込むことで、嗅細胞から伸びている繊毛により臭いを受容体へ導きます。

また、臭いを感知する嗅細胞の間には、支持細胞という組織もあり、この支持細胞からも数多くのの微繊毛が粘液中に伸びています。

人間の嗅細胞の配列は一層ですが、犬では数層にわたっていて、嗅細胞と支持細胞は、常に新しい細胞へと生まれ変わっています。犬では、この繊毛の数が、他の動物に比べ数が多いのも特徴のひとつです。

嗅上皮粘膜で捕えられた臭いの分子は、嗅上皮内に非常に多く存在する感覚受容器である嗅細胞への伝えられ、電気信号に交換されます。

電気信号に変換された臭いは、嗅細胞の軸索と呼ばれる部分が、嗅神経となって大脳の嗅球に伝え(投射と呼ばれます)、この嗅球に届いた情報は、嗅球から視床を介して、大脳皮質の嗅覚野へと送られ、臭いとして認識されます。

犬には嗅覚器の補助器官(副嗅覚器)として鋤鼻器(じょびき、発見した人の名を取ってヤコブソン器官とも呼ばれる)というものが存在します。

この鋤鼻器は、一対の嚢からなり、内部は液体で満たされていて、上顎の犬歯のすぐ後ろ側から鼻の穴の中へ抜ける細い管で鼻口蓋管という組織へつながっています。

人間や霊長類では、この鋤鼻器は発育不全により分散してしまっているか、無くなっています。

鋤鼻器の役割は、様々な動物において性行動に関する臭い(いわゆるフェロモン)を感知すると言われています。

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犬の鼻は、濡れていてよく健康判断などに使われたりしていますが、犬はこの濡れた鼻を利用して風向きを感知して臭いの方向を知るようです。

犬の臭いを利用した追跡能力は、汗に含まれる揮発性脂肪酸という物質を感知する能力に依存して行われています。

臭気の種類によりますが、犬は人の一億倍までも感知できると言われています。

犬が臭いを嗅ぐ際に慎重に嗅いでいるのをよく見かけますが、この嗅いでいる時間の長さは、嗅上皮が臭い物質を受容するのに最適な長さだと言われています。