スタッフのブログ

異常な呼吸音

まきの
まきの
こんにちは。院長の牧野です。

 

このブログでは病院の様子をお伝えしていきますが、今回は症例のお話をしてみようと思います。解剖学的用語も出てくるので、ちょっとお堅い話ですみません。
 

本院ホームページ猫のブログ記事で、猫のくしゃみの話をしました。その文章の後半に、呼吸をするときにイビキのような音がする場合、鼻の奥に異物や腫瘤のある可能性があると書きました。
 

今回はそれが腫瘍であったという、稀ではあるけれどちょっと怖い症例について、診断に至るまでの過程を動画と写真を交えて紹介します。
 

 

飼い主さんは猫のかぜだと思い来院されました。くしゃみ、鼻水などの鼻炎の症状は目立たなかったため、口の中を覗いてみました。
 

 

あれ!? 上あごの奥の方が腫れて見えるぞ。
 

まきの
まきの
これは見慣れていないと気づきにくいかな

 

次はX線検査で調べてみよう。
 

 

まきの
まきの
X線写真だけでは分かりにくいので、手描きの図で説明してみます。

 

 

ここまでで咽頭鼻部という所に何か腫瘤があることがわかります。怪しいところが見つかりましたが、この先の検査は全身麻酔が必要です。思いを決して麻酔をかけて検査をしてみることになりました。
 

 

より鮮明に病変部が分りました。病変部を触ると消しゴムのような硬さで、軟口蓋の裏側に広範囲に広がっており、完全切除できるようなものではありませんでした。
 

異物であれば取り除くことで治せるのですが・・・
 

まきの
まきの
これはちょっと難しいぞ🤔

 

診断に近づけるために、腫れたところに針を刺して検査をしました。その結果、「上皮性悪性腫瘍」と診断されました。ここまでやってはじめて腫瘍性疾患であることが判明しました。
 

まきの
まきの
「上皮性悪性腫瘍」とは腺癌や扁平上皮癌などが考えられます。

 

こんな事もあるんですね。
 

いつも何気なく聞いている呼吸音も、少し変だなと思ったら、病院に相談してみて下さい。