ねこのブログ

【猫の寿命】獣医師が教える愛猫と1日でも長く一緒にいるための秘訣


愛猫とあと何年一緒にいられるのだろうか、と思ったことはありませんか。
 

家族の一員である猫さんに1日でも長生きしてもらいたいですよね。長生きのために飼い主ができることをまとめました。
 

たけだ(さ)
たけだ(さ)
改めましてこんにちは! 本牧通り動物病院で獣医師をやっている竹田(沙)です。

 

大切な猫に長生きしてもらうために、今日からできることを盛り込んだので、ぜひやってみてくださいね。
 

猫の平均寿命は?


2020年に一般社団法人ペットフード協会から発表された「全国犬猫飼育実態調査」では、猫の平均寿命は15.45歳という結果でした。
 

2010年に行われた同調査によると猫の平均寿命は14.4歳。
 

参考:「全国犬猫飼育実態調査」
 

たけだ(さ)
たけだ(さ)
なんと10年で1歳も平均寿命が伸びていることになりますね!

 

猫種による違い

長生きの傾向のある猫種は何でしょうか?そもそも猫種によって違いがあるのでしょうか?
 

英国の論文 (Dan G O’Neill et al., 2015)では混血猫の方が純血猫より寿命が長いとの報告があります。
  

日本では2017年にアニコムグループが保険を契約している猫を対象として調査した報告があります。それによると、人気猫種トップ10位の平均寿命は以下の結果になりました。
 

【猫の品種別の平均寿命(保険契約頭数上位10品種)】

猫の品種別の平均年齢平均寿命
混血猫14.3歳
日本猫14.3歳
ペルシャ(チンチラ)13.9歳
アメリカン・ショートヘア13.5歳
ラグドール13.5歳
スコティッシュ・フォールド13.4歳
ロシアンブルー 13.1歳
ノルウェージャン・フォレスト・キャット12.6歳
メイン・クーン12.5歳
マンチカン11.2歳

 

参考:「家庭どうぶつ白書2017」
 

たけだ(さ)
たけだ(さ)
この結果だけだと猫種による違いははっきり言えませんが、英国の論文と同じように混血種は純血種より長生きすると言えるかもしれません。

 

飼い方による違い

もし飼い方で愛猫の寿命が長くなるのであれば、その方法を知りたいですよね。
 

2020年にペットフード協会が発表したデータは、家飼いの猫は外飼いの猫に比べて平均寿命が約2.5年長いという結果になりました。
 

【飼い方別平均寿命】

飼い方平均寿命
家飼いの猫16.13歳
外飼いの猫13.57歳

 

参考:「家庭どうぶつ白書2017」
 
 
野良猫の寿命は約3〜5歳と言われています。
 

理由としては、ウイルスや寄生虫などの感染症にかかりやすいことや、交通事故や怪我にあう可能性が飼い猫より高いことがあげられます。
 

そのことからも、家飼いの猫の方が外飼いの猫より長生きしやすいのが想像つきますね。
 

オスメスによる違い

人間は女性の方が長生きと言われますが、猫はどうなのでしょうか。
 

スウェーデンで行った49,450匹の大規模な調査(A.Egenvall et al., 2009)では性別による寿命の差はないという結果でした。
 

ところが、日本でのアニコムグループによる報告では以下のようにメスの方が長生きという結果になりました。
 

【オスメス別平均寿命】

性別平均寿命
メス
14.8歳
オス13.7歳

 

参考:「家庭どうぶつ白書2017」
 
   
猫は避妊や去勢の影響も受けるため、一概にオスメスで判断できないのも意見が分かれる要因の一つかもしれません。
 

猫の長生きのギネス記録はどれくらい?

世界で一番長生きした猫は何歳なのでしょうか。
 

ギネス世界記録によると38歳3日生きた猫が最長と記録されています。アメリカに住んでいたクリーム・パフちゃんというメス猫です。
 

人間でいうと、なんと約170歳! 残念ながら、2005年に亡くなってしまっていますが、未だにその記録は破られていません。
 

参考:https://en.wikipedia.org

本牧通り動物病院での最高齢の記録

ちなみに本牧通り動物病院での最高齢の記録は、23歳マッシュちゃん(オス)! 次に、22歳8ヶ月ヒメちゃん(メス)です! (2021年7月現在)
 

2匹とも高齢で闘病中でしたが、とても幸せそうな表情をしていますね。
 

マッシュちゃん23歳

 

ヒメちゃん、22歳8ヶ月

 

猫の年齢は人間でいうと何歳くらい?


猫の寿命や長寿の記録が分かったところで、猫の年齢は人間でいうとどのくらい?と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
 

【猫と人間の年齢換算表】

猫の年齢人間の年齢
0−1ヶ月0−1歳
2−3ヶ月2−4歳
4ヶ月6−8歳
6ヶ月10歳
7ヶ月12歳
12ヶ月15歳
18ヶ月21歳
2歳24歳
3歳28歳
4歳32歳
5歳36歳
6歳40歳
7歳44歳
8歳48歳
9歳52歳
10歳56歳
11歳60歳
12歳64歳
13歳68歳
14歳72歳
15歳76歳
16歳80歳
17歳84歳
18歳88歳
19歳92歳
20歳96歳

 

参考:The Feline Advisory Bureau(現在のInternational Society of Feline Medicine国際猫医学会)
 

上記の換算表のように猫の2歳は人間の24歳に相当します。3年目からは1年で4歳ずつ歳をとります。
 

【計算方法】(2歳以上の猫)
24+(猫の年齢−2)×4
 

例)5歳の猫の場合
24+(5−2)×4=36 ⇨36歳
 

子猫の時から飼っている愛猫が、気が付いたら自分の年齢を越していた…なんてことがあるかもしれません。
 

たけだ(さ)
たけだ(さ)
換算表に照らし合わせると、猫と過ごせる一年一年を大切にしないといけないなと思いますよね。

 

猫は年齢とともにどんな風に成長する?注意すべきポイントは?


猫は何歳からが高齢と言われるのでしょうか。また、それぞれのライフステージで気をつけるべきポイントは何でしょう。
 

アメリカ猫医療専門家協会(AAFP)とアメリカ動物病院協会(AAHA)のライフステージガイドラインによると、猫のライフステージは6段階に分けられます。
 

  1. 子猫期 (KITTEN) 0−6ヶ月
    人間でいう0−10歳にあたります。好奇心旺盛でおもちゃで遊ぶのも大好き!
    この時期から車や病院を経験し、慣れておくと後々良いと言われています。
  2.  

  3. 青年期 (JUNIOR) 7ヶ月−2歳
    人間でいう12−24歳にあたります。だんだんと他の猫と遊ぶよりも単独行動を好むようになります。口や耳、体をなでる、ちょっとした時に触るなどして、触られることに慣らしておきましょう。
  4.  

  5. 成猫期 (ADULT) 3−6歳
    人間でいう28−40歳にあたります。肥大型心筋症やリンパ腫など若くして発症する病気もあるため、この頃から1年に1回は健康診断をすることがオススメです。
  6.  

  7. 壮年期 (MATURE) 7−10歳
    人間でいう44−56歳にあたります。青年期より睡眠時間が増え運動量が減り、体重管理に気をつけないと太ってしまう猫もいます。ちなみに太った猫の方が普通の体型の猫に比べて糖尿病や尿路結石、関節炎、肝リピドーシスなどの病気になるリスクが高いです。また、病気の早期発見・早期治療につながるよう、壮年期以上は1年に2回は健康診断をすることがオススメです。
  8.  

  9. 高齢期 (SENIOR) 11−14歳
    人間でいう60−72歳にあたります。12歳以上の猫の90%は変形性関節症になると言われています。高齢期からトイレや食事の場所、寝る場所へのアクセスが簡単になるよう、バリアフリーを心掛けましょう。ちょっとした行動の変化が病気のサインであり「老化」では済まされないこともあります。食事量、体重、トイレの回数などに注意を向けてあげてください。
  10.  

  11. 老猫期 (GERIATRI) 15歳以上
    人間でいう76歳以上にあたります。人間と同じで猫も歳を取ると目や耳が悪くなったり、変形性関節症や認知症になります。

    • 爪をとがなくなった
    • グルーミングをしなくなった
    • トイレの外でうんちやおしっこをするようになった
    • 気性が荒くなった、体を触るとうなるようになった
    • 遊ばなくなった
    • 声が変わった、大きい声でなくようになった など

    小さな行動の変化でも、より一層注意を向けてあげてください。また、どのような生涯を送るのが愛猫にとって幸せなのか家族で話し合っておくのも重要です。

 

年齢によって注意しないといけないポイントは異なります。猫のライフステージを知ることは愛猫に合ったケアに繋がりますね。しかし、年齢はあくまでも目安です。
 

たけだ(さ)
たけだ(さ)
猫によって年の取り方は違うので、少しでも気になることがあれば病院で相談することをオススメします。

 

猫に長生きしてもらうためのコツ


若い時からちょっとしたことに気をつかっていると、病気の予防や長生きにつながります。今の愛猫の生活と照らし合わせてみてくださいね。
 

食事

栄養に関して○○の成分が長生きにつながる!などは残念ながらありません。今の猫の年齢に合ったもの、体重に合った量をあげるのが一番重要です。
 

太りすぎの原因の多くはご飯やおやつの与えすぎです。また、病気になってしまった場合はそれぞれの食事療法があるので、獣医師に相談することをオススメします。
 

ドライフードと缶詰のご飯どちらが良いの?と質問されることもあります。結果から言いますと、どちらでも大丈夫。
 

ちなみにわたしは歯に付きにくいこと、室温に数時間置いておいても悪くなりにくいことからドライフードを愛猫にあげています。
 

環境

猫にとってストレスの少ない環境が長生きにつながると言われています。猫と一緒に暮らすときに考えるべきポイントをまとめました。
 

【絶対に用意するべき環境】

  • 隠れる場所、または自分だけのスペース
  • 少し高いところでくつろげる場所
  • 年齢と体重に合った食事
  • 新鮮なお水
  • トイレ
  • 爪とぎ
  •  

    また、猫はとてもきれい好きです。トイレが汚れているとうんちやおしっこを我慢してしまうこともあるので、こまめにチェックしましょう。
     

    「猫はどんな風に成長する?注意すべきポイントは?」でもお伝えしたように12歳以上の猫の90%が変形性関節症になると言われています。
     

    人間でも年を取ると関節が痛み階段が辛い、なんてことがあるかもしれません。高齢期すぎたらトイレや食事の場所はアクセスしやすいか、低い場所にもストレスなく休めるスペースがあるかなど環境の見直しをしてあげてください。
     

    飼い方

    「1.猫の平均寿命は?」の項目でお伝えしたように、家飼いの方が外飼いより平均寿命が長いというデータがあります。
     

    やはり、家の外はウイルスや寄生虫などの感染症にかかりやすく、交通事故や怪我にあうキケンもいっぱい。愛猫を守るためには家飼いがオススメです。
     

    運動

    家飼いがオススメと言われても、元々野生だった猫は家の中ではストレスが溜まってしまいそうですよね。
     

    おもちゃでの狩りごっこは、猫の狩猟本能を満足させストレスを減らします。飼い主とのコミュニケーションの一つでもあり、性格にもよりますが遊んでもらえたという満足感にもつながります。
     

    もしかしたら猫としては「遊んであげてもいいにゃ」くらいに思っているかもしれませんが…
     

    また「猫はどんな風に成長する?注意すべきポイントは?」でもお伝えしたように7−10歳の壮年期の猫は太りやすく、肥満は糖尿病や関節炎など病気の原因になります。
     

    体重管理のためにも、家の中でも運動量が確保できるようなスペースやおもちゃを用意してあげることは大切です。
     

    病気

    病院に行った時は手遅れだった…なんて事態を避けるためにも早期発見・早期治療をめざしたいですよね。
     

    猫の病気のサインを知っていると早期発見の手がかりになり、長生きにつながります。
     
     
    【よくある病気のサイン】

  • 痩せてきた
  • 食欲が減った
  • 食欲がありすぎる(食べ物でないものを食べる、ご飯をねだり怒る)
  • 遊ばなくなった、隠れるようになった、じっとしている
  • 水をよく飲むようになった
  • おしっこの回数が増えた、おしっこに血が混じる
  • 食事や環境の変化がないのに下痢がつづく
  • グルーミングしない、毛ヅヤがない など
  •  

    これらの症状は猫がかかりやすい病気(慢性腎臓病、膀胱炎、糖尿病、甲状腺機能亢進症など)のサインです。他にも普段と様子が違うことがあれば、獣医師に相談することをオススメします。
     

    長生きしてもらうためには愛猫をよく観察すること。元気で若いときから猫の行動を気にしてあげていると、普段との違いも気がつきやすいかもしれません。
     

    健診

    病気のサインにいち早く気が付くのも大切ですが、猫は体調が悪いのを隠す動物…家で見ているだけでは限界があります。繰り返しになりますが、長生きのために病気の早期発見・早期治療は重要です!
     

    しかし、いざ体調が悪くなり病院に行ったけど、嫌がってしまい検査ができない、なんてこともあるかもしれません。手遅れにならないためにも子猫の時から定期的に健診に行き、病院に慣れてもらいましょう。もちろんワクチン接種も病気の予防に大切です。
     
     
    アメリカ猫医療専門家協会(AAFP)とアメリカ動物病院協会(AAHA)のガイドラインによると、全ての猫に対して1年に1〜2回は病院で健康診断を受けることが推奨されています。
     

    特に壮年期(7歳)以上の猫は1年に2回、血液検査も含めた健康診断が推奨されています。
     

    たけだ(さ)
    たけだ(さ)
    病気のサインはないけれど検査で分かる病気はたくさんあるので、病院での健康診断は大切です。

     

    【猫の寿命】まとめ

    最後まで読んでくださった方は愛猫のことをすごく考えている方です。それだけでも飼い主さんとしてはパーフェクト!ただ、人間がそれぞれ違うように、猫も1匹1匹性格も年の取り方も違います。
     

    もっと愛猫を理解して、家族みんなで幸せに過ごす時間が1日でも長くなれば良いですよね。
     

    たけだ(さ)
    たけだ(さ)
    本牧通り動物病院はそんな皆さんの力になれたら嬉しいです。

     

    猫の年齢別検診プランはこちら