動物がかかる主な病気

猫の問題行動 :転嫁行動

経験上、転嫁行動の相談件数自体は少ないものの、程度によっては深刻なケース(飼育不能)になる場合があります。

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少し状況の説明が難しいのですが、頑張って想像してみてください。

猫が家内にいる状況下で、自らのなわばりと認識している敷地内(外に出ることがあってもなくても)に他の猫が居るのを窓越しに見つけた場合などに、猫は警戒態勢になります。

通常は、直接相手を威嚇するなどして、追い払うなどの行動に移れるのですが、屋内に居るため、追い払い行動が不可能な状況となります。

そうすると猫は、ストレスとパニックとが混じり合った複雑な興奮状態へと一時的に陥り、その際、近くにたまたま飼い主がいた場合、代償行為として飼い主へ攻撃(転嫁)することがあります。

この一時的なことでも猫の性格、興奮の程度によって、飼い主の方がひどい怪我を負うことがあります。

そして、この興奮が一時的であれば、時間の経過と共に薄まり、収まって一過性のこととして終わるのですが、極々稀に、この興奮が持続状態となり、連続して飼い主の方を攻撃するようになったり、外にいる猫を見ることが条件付けとなり、そのたびに飼い主の方を攻撃するようになり、ひどい場合には持続的に攻撃し続けることとなります。

このような状態に陥る猫は、遺伝的素因があると考えられていますが、遺伝的素因が原因である場合は、現在のところ治療法は確立していません。

経験上、相談を受けた猫の種類、毛色に偏りがあるので、遺伝的素因が少なからず絡んでいる可能性が高いのではと私自身も考えています。

この案件がエスカレートしていくと、飼育が困難になるか、不能となります。

私は、潜在的にこうした猫の数は、実は多いのではないかと考えています。
ただ、こうした猫たちは、猫の飼い主特有の寛容さに救われているのだと思います。